ドミノゲームのスタンダード
【ドロードミノ】【カンテット】
日本では「ドミノ倒し」で有名なドミノですが、海外ではドミノはつなげて遊ぶもので、トランプと同じくらいメジャーな遊びとなっています。
映画の1シーンで出ることもあります。ネットではヤフードミノというのがありました。
ドミノにはいろいろな楽しみ方がありますので、ここでもいくつか紹介していこうと思います。
今回紹介する【カンテット】は、草場純さんによく教えていただいているドミノゲームです。
このゲームはドミノゲームの基本の内容を踏まえつつも、
シンプルなルールながら戦略を突き詰めることの出来る非常に完成度の高いゲームになっています。
ネットでもマギン、ファイブアップ、オールファイブなどの名称で紹介されてはいるのですが、
草場さんに教えて頂いたルールとでやはり多少の相違点(ただしゲームのシステムとしては非常に大きい)が多くて中々納得できるものがありませんでした。
先日、国会図書館を訪れ、ゲーム関係の資料を探してたときに、
1974年に発刊された、「ドミノとバックギャモンの専門書ドミノとバックギャモン フレンチ・ゲーム入門 改訂版」(ジャン・クレー著)という本を見つけました
ドミノとバックギャモン : フレンチ・ゲーム入門 (エレック社): 1974|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
そこに掲載されている【カンテット】のルールが今現在草場さんに教えていただいたルールに非常に近い内容、
というかほとんど同じの内容になっていました。*1
1970年代に記載されたルールが(ルール自体はもっと古くから作られたのですが)2000年代に入って今なお、多くのゲーマーたちを楽しませるという事はもの凄く興味深いことだよなと思っています。
ドミノゲームでメインに説明していきたいのは【カンテット】で、大変面白いゲームと言われています。
【カンテット】は【ドロードミノ】の発展系なので、先ずは【ドロードミノ】の説明から。
そしてこれをはもう少し発展させた【カンテット】を続けて紹介します。
LEVEL1【ドロードミノ】について
ドミノはW6を用意します。ここでは牌の構成は割愛します。
あと点数用のチップを用意してください。
○手札、山札について
まず人数によって、手牌と残す山牌が違ってきます。
人数 | 手牌 | 山牌 | 残し牌 |
---|---|---|---|
2人 | 7枚 | 14枚 | 2枚 |
3人 | 6枚 | 10枚 | 1枚 |
4人 | 5枚 | 8枚 | 2枚 |
5人 | 4枚 | 8枚 | 1枚 |
手配の枚数ですが、
9-人数=枚数
の計算式を頭に置いておくと覚えやすいです。
残し牌は奇数人では1枚、偶数人では2枚となるみたいなので、これも覚えやすいです。
○プレイ方法
初めによくかき混ぜた牌から全員1枚づつ引いて、目の合計が大きいプレーヤーが親になります。
大きい人が複数いた場合、片方の目の最も大きいプレーヤーが親となります。
親は自分の手牌の中から好きな牌を場に出します。
この時置き方にマナーがあり、ドミノは大きい目の方を手前に置きます。
ダブル(ゾロ目の牌)を最初に出す場合は、自分と並行に置きます。
次のプレーヤーは端のの目と同じ目を横につなげていきます。
ダブルの場合はまずタテに直角につなげます。
次につなげる時は反対側に直角につなげます。
その後は横に両端につなげます。
ダブルは4方向につなげることができるのです。
自分の番でつなぐことができない場合、山牌からつなぐことが出来る牌が来るまで引かなければいけません、
ただし、山札を全部引けません。残し牌の枚数分は絶対に引かずにそのまま残します。
牌を引くことが出来なければパスとなります。
1人が上がるか、誰も牌を置けず全員がパスしてしまったら、ラウンドは終了となります。
手元の牌が残ってる人は手元の牌の目の数の合計を計算し、自分の失点として失点します。
こうして規定数ラウンド行って失点の少なさで競います
以上。ここまでは【ドロー】の遊び方です。
これだけだと、ちょっと引き運のゲームになってしまうんですよね(^^;)
で、次は【カンテット】の説明に入ります。
***********************
LEVEL2【カンテット】について
さあ、それでは、カンテットの説明をしましょう。
【カンテット】はフランス語で「五組」「五重奏」と呼ばれており「5」という数字がこのゲームに大きく関わってきます。
【カンテット】は【ドロー】と同様にになってます。
4人が特徴的なルールになってますのでまずは4人用から説明します。
【カンテット】では【ドロー】と手牌の枚数、山札、残し札、そしてプレイ方法は基本同じですが、
以下の3つのルールが追加になります。
・パートナー
・マギン
・ラウンド終了時の得点。
○パートナー戦
まず親決めをした後に1番大きい人と2番目に大きい人が向かい合って座ってパートナーとなります。
残りの2人も向かい合って座りパートナーとなります。
ゲームはこの2対2で点を取り合っていく形となります。
○マギン
プレー中に 場牌のつなげられたの端の目の合計が5の倍数で場合、マギンとなり5で割った数の得点が入ります。
例を挙げてみた方が分かりやすいでしょう。
まず親が、[5-5]を置いたとします。
端が5、5なので目の合計が10となり、10÷5=2で2点入ります。
つぎに、[5-0]を置きます。
この時ダブル牌は目2つ分を数えるので、5×2+0=10で2点となります。
次に[0-0]を置いたとします。
(0×2+5×2)=10
として2点入ります。
このように、相手にマギンを取られても取り返すことも出来ます。
このテクニックは日本独特の呼び方になってしまいますが「マギン返し」って呼ばれています~。
今度は[0-1]を置きます。
[0-0]は端では無くなりましたので目の数の合計には加えません。
5×2+1=11で5の倍数では無いので点は入らないです。
今度は[0-4]がおかれて、4が端の目として加わります。
5×2+1+4=15となり3点入ります。
[0-0]の片っ方の方×の所は端では無いので注意してください。
3+4+1=8
[5-5]が端で無くなりましたので一気に数が減ってしまいました…。
4+1+2+3=10で2点入ります。
さらに!
6+4+2+3=15で3点。
こんな感じでゲーム中もどんどん点数が入ってきます。
(上の図だと端の目の合計は3+1+6+6+10=26…後一点減らせれば…)
つなげたところの牌がガラッと変わってしまうので マギンの計算が少し複雑です。間違いやすいので注意してください.
計算のコツとしては手牌ごとに目の差を計算しておくのがオススメです。
○得点のやりとり(4人用)
誰かが上がったばあい【カンテット】の場合失点のやりとりで行いません。
上がりのペアは
上がり点1点と、敵の残りの手牌の目の合計÷5
の点数が入ります。
例として
A:18 B:上がり C:20 D:8
と、目の合計だったとしてA-D、BーCでペアだったとします。
Bが上がりだったのでCの目の合計の20は無視されます。
AとDの目の合計を足して18+8=26
26を5で割ると5余り1あまりは切り捨てて5点となり、これに上がり点1を足して6点となります。
片方のペアは0点となります。
相手ペアに上がられたとしてもがっかりすることは無いです。
ゲーム中で入ったマギンの点数もあるので実際合計したところ上がったペアより点が多く入っていたこともあるからです。
お互いに出せないブロックと呼ばれるときがあります。
その場合は、ペアごとに目の合計値を比べて、その差を少ない方が得点します。
差が5以下の場合はお互いに無失点です。
そうしたら、全ての牌を裏返してかき混ぜ、時計回りに親を移して繰り返していきます、
ラウンド終了時、以下の条件を達成したパートナーが勝ちとなります。
・35点先取
・両パートナーが35点以上取ってたら得点の多い方。
・それでも同点の場合、延長戦を行う。
○5人3人の場合の得点のやり取りについて
5人、3人は個人戦です。
3人の場合やり取りが少し複雑になります。先ほど上げた上がり点1点も含み、
2位3位の間の目の合計の点差にも得点のやり取りが発生します。
例を出します。
1位が上がり、2位が10、3位が24と手牌の目の合計だったとします。そうすると、
1位の人は上がり点で1点、2位との目の差10で2点、3位との目の差24で4点(端数は切り捨てます)
合計で7点入ります。
2位は3位との差で計算しますので、(24-10)÷5の計算で2点入ります。
3位は得点がありません。
5人の場合は手牌の目の合計の最も多いプレーヤーとの差分が得点になります。
トップから順に手牌の目が
上がり、0、5、12、18、22だったとします。
そうすると22が基準となり、
点数は上がり点も含めて順番に5点(上がり点1点+4点)、3点、2点、0点、0点となります。
35点以上取ったプレーヤーが勝者となります。
マギンのルールの取っつきづらさはあるんですが、
大きくリードされてはいても、マギンの連続で行うことにより、逆転の出来るチャンスがいつでもあります。
パートナー戦といえ、相談しやすいゲームではあります。
パートナー戦になじみが無いと言われる日本人ですが
このゲームはその中でも取っつきやすい部類だと思います
遊んで見てください。
なお、前述した「ドミノとバックギャモン 」ですが、【カンテット】の戦術も詳しく書かれており、*2私も何度も「その視点があったか!」と驚かされました
70年代に書かれたとは思えない、内容の濃いすばらしい本だと思います。
古本屋では難しい場合が多いみたいですが、近所の図書館にも置いてある可能性があるかもしれませんので、
気になった方は是非あったら借りてみてください。
なお、この本に書いてある戦略をいま読んでますので
今後機会があったらまとめを書いてみたいと思います。