ゲームばっかりやってないで

アナログ、デジタル、両方のゲームが好きで、それらのリビドーをぶちまけるブログ。そのほかにもいろいろな雑記も。

ペッパ・シヴォローサ

ハーツの好きな方に。
ジレンマたっぷりなバリアント
【ペッパ・シヴォローサ】

イキなりいうのもなんですが、ゲーマーに最も人気があるであろうトリックテイクの【ハーツ】、私は苦手なゲームです。
ただしついこの間までハーツには色々なバリアントゲームあることを知り、ハーツの事について調べていました。
その中でもこの【ペッパ・シヴォローサ】(Peppa Scivolosa)はルールの奇麗さに興味がわいてきました。
ある時居酒屋のいっちょうにて仲間内で遊んでみたら
なるほど!これはすごく面白い!!と思いましたのでここで紹介にします。
【ペッパ・シヴォローサ】はPeppa=♠Qの俗称、 Scivolosa=滑りやすい(不要にカードを入れやれやすい)ということから、「滑りやすい♠Q」と呼ばれ、
ローマにあるバーのCircolo della Peppaで遊ばれています。
サイトを見るとトーナメントもするぐらい遊ばれているようで、競技性要素も高いゲームなんですよね。

www.lapeppa.rielab.com

このゲームは、去年のアドベントカレンダーでの雨宮さんの紹介で知りました。
kuromiya.hatenablog.com
ブログでも

「ハーツが古典的トリテに属するのに対し、ペッパ・シヴォローサは現代トリテに属すると考えていい」

と評されているだけあって、このゲームにはフレッシュな要素があり、ハーツのパロディーの面白さだけにとどまらず
トランプのトリックテイクゲームとしても近年一番面白いと個人的に思ってます。

人数

4人

用意する物

トランプ52枚

目的

なるべく♥と♠Qを取らないようにします。
ただしプラス点もあるのでこのトリックを取ったらいいのか取らないほうがいいのか見極めるのも充当です。

ランク

A>K>Q>J>10>9…>2

ディール

ディーラーを任意に決め、次のラウンド以降はディーラーを時計回りに移します。
ディーラーは各プレーヤーに13枚づつ配ります。

交換

手札から3枚選んで、第1ディールでは左隣、第2ラウンドでは右隣、第3ラウンドでは向かい合った人
第4ディールでは交換しません。

プレイ

ディーラーの左隣からプレイします。
マストフォロー切り札なしのトリックテイク13トリックを行います。
ここでハーツを知っている方にここで改めて言いますが
「♣の3なし、ハートブレイクなし」です

得点

ここがハーツとの大きい違いです。
まず、の数札はその数のマイナス点となります。
2:-2点、3:-3点…10:-10点
J:-11点 Q:-12点 K:-13点 A:-14点になります。
肝心のブラックレディーこと♠Qは-26点になります。
ここまでのマイナス点を合計すると-130点になります。
そしてこれだけではなくこのゲームにはプラス点がありまして
1トリックを取ると+10点となります。
これを全部足してみると。
1トリック+10点ー(と♠Qの総合計:130点)=±0
となり全体の合計は0点となります。

プラス点とマイナス点を一緒に数えるゲームのため、キッチリ分けて計算しないと混乱します。
そのため、プレイ中に1トリック毎にカードを纏めて、計算時に1トリック毎の点数を記録した後に、
マイナス点だけを取り出してプラス点と合計すればやりやすいかと思います。

カポ(シュートザムーン)

【ハーツ】のシュートザムーンも存在し、【ペッパ・シヴォローサ】では「カポ」と呼ばれます。
13枚、と♠Qをすべて取った場合-130点とトリックのプラス点はすべて帳消しとなり、
達成したプレーヤーが+30点を獲得して、他のプレーヤは-10点獲得するとなります。

次ラウンド以降

時計周りにディーラーを交代して12ラウンド行います。長かったら4ラウンドで終えてもいいでしょう。


このペッパの面白さの肝は絶妙な配点です。
1トリック10点というのは大きく10以下の失点を取ってもプラス点で元を取ることができます。
ー26点のブラックレディですら3トリックを取れればプラス点に持ち越せるので最終的にマイナス点が大きくならないことがあります。
しかし高いマイナス点のカードをを集中的に取らされると、プラスへの復帰が厳しくなるので、♠QはもちろんのことA、K、10を一緒に取るのは避けなければいけません。
 【ハーツ】ではトリックは「取ってはいけないもの」に対して、【ペッパ・シヴォローサ】では「リスクを背負わせられるがリターンも得られる」ものになっていて、
それによって【ハーツ】にはないジレンマを【ペッパ・シヴォローサ】では味わえます。
 

このゲームはハーツを知らないで遊んでもらうのもいいですが、ハーツを知ってる人同士で遊んでいただいたほうがグッと面白くなります。何故なのか。
ハーツに限ることではないのですが、ゲームを同じメンツで繰り返し遊ぶことによってこのプレーヤーだったらこうするよね、
こういう風にすることが前提だよねという共通認識が生まれます。
人によっては「定石」とか「セオリー」とか呼ぶものですよね。

ここまで行くと、それぞれのプレーヤーの様々な「個性」が出てきて、いままで遊んできたゲームがより新しい解釈で楽しむことができるのです。
ペッパではこのハーツによる「共通認識」がこのスコアルールによって自然と覆され、ハーツで定石に陥りがちな交換やプレイにいろいろな個性が出るようになります。

 もちろん先ほども言いましたがハーツを知らなくても楽しめます。
このゲームは、【ハーツ】という世界でもっとも遊ばれていると思われるトリックテイクによって生まれた共通認識があるから楽しめるゲームでもあるので、ハーツを知っている方同士で遊んでみてください。
あ、あと欠点を上げるならば【ハーツ】より考える時間が長くなってしまうことかな。